「仕事がイヤで自殺をするぐらいなら辞めればいい」ができない理由。

精神科

こんにちは、精神科ナースまさです。

みなさんは、お仕事や家事、学校などに追われて「もう嫌だ・・・。」って思ったことありませんか?
おそらく多くの人が「もう辞めたい!」と思ったことがあると思います。

それはもしかしたら現在進行形で感じているかもしれませんし、過去に感じていたけど今は乗り越えたという方もいらっしゃるでしょう。

残念ながらその中で「もういっそ死んだ方がラクなのでは・・・?」と感じてしまう方も一定数います。

私は仕事柄、そのような方と関わることも多く、実際に実行される方もいらっしゃいます。

このように聞くと多くの人が「死ぬほど嫌ならやめればいい。命が一番大切でしょ。」と言われますが、私個人としては『死んでしまいたい気持ちが高ぶって、実行に移してしまう人の気持ち』も痛いほど分かります。なぜなら、私自身も同じような体験をしているからです。

今回は自分の体験も含めて、「嫌で嫌で死にたくなるぐらいなら辞めればいい」ができない理由と、そんなときの考え方について共有していきたいと思います!

この記事はこんな人におすすめ!

・仕事が死ぬほど嫌だけど辞められない
・この気持ちが誰にも理解されないし、相談もできない
・「死にたい気持ち」があんまり理解できない人

どのくらいの人が「死にたい」とおもったことがあるの?

まず、最初に紹介したいのは日本財団が実施している「自殺意識調査」というもののデータから、どのくらいの人が過去に死にたいと思ったのかを紐解いていきます。
参考URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000025872.html

この調査によると2016年時点で全体の約25%(約4人に1人)が、過去に「本気で死にたい」と感じていたことがある、ということが分かっています。

意外に多くてびっくりしませんか?
極端な話ですが、自分の身の回りの人を10人想像してもらうと、その中の2人はもしかしたら死にたい思いで悩んでいた時期があった、もしくは現在進行形で悩んでいるかもしてません。

そして、同年の「自殺未遂者数」をみてみると約53万5000人で、「自殺者数」は約2万1800人となっており、合計すると約55万6800人が「実際に自殺行為にまで及んだ人」になります。
同年の人口が約1億3000万人ですので、割合としては人口の0.4%が実際に行動に移した人になります。
この数字が多いと思うか少ないと思うかは人それぞれですが、500人規模の会社であれば2人ぐらいは実際に自殺企図にまで至っていると思うと、私は多いと感じます。

自殺にまで追い込まれる人の心理

これはものすごくざっくり言うと「心理的視野狭窄」に陥っている状態です。
心理的視野狭窄」っていうのは、心に余裕がなくなって他の道があるのに見えなくなっていたりする状態です。他の道というのは、仕事を辞めたり、休職したり、クリニック等に受診したりなどの選択肢です。
つまり、周りの人からすると他にもたくさん道があるのに、本人の視野が狭まっているから今自分がしていることを続ける以外は道がないように感じて、それ以外は「死ぬしかない」と思い込んでしまうんです。

私の場合は、新卒で働き始めた病院が本当にしんどくて、毎日辞めたいと思っていました。人間関係もうまくいかず、なにをしても・しなくても怒られて、完璧にしなきゃと思えば思うほどうまくいかなくない状態でした。しかし、ネットをみても周りをみてもそれが「新人なら当たり前に感じること」とされており、「3年は耐えなさい」という定説があるほどでした。
それが耐えられない自分は社会不適合者なんだと、これではどこに行っても同じなんだと言われたり、言い聞かせたりして通っていました。
そのように考えて生活していた朝に「この階段から落ちれば仕事に行かなくて済むのでは?」と頭によぎり、考える間もなく頭から階段に落ちたことがあります。幸か不幸か、体の複数個所に打撲があったぐらいでなにも変わらず、残念な思いをしながら仕事に行ったのを覚えています。
文字に起こすとすでに異常ではあるのですが、このあとも「この窓から落ちたら・・・」「今ここで飛び出したら・・・」と考える日々が続いていました。

心理的視野狭窄に陥っている人は、このように「やりたくないことをやらない方法は死ぬしかない」と感じてしまう人が多いです。

ここで当時の自分を振り返って、よくあるQ&Aをしてみたいと思います。

Q.なんで休まないの?休職すれば?
A.休んでも根本の解決にならないから。今日休んでも明日はやってくるし、1週間休んでも8日目には出勤しなきゃいけないし、3か月休んでもそのあとは結局出勤しないといけないから。そう思うと、結局休日も休まらない。

Q.なんで辞めないの?
A.今ここで辞めても、スキルも経験もない自分が他でやっていけるわけがないと思うから。

Q.部署の異動は?
A.上司との人間関係がうまくいってなくて、誰に相談したらいいかも分からなかった。また、勇気をだして相談したけど、「このタイミングでの異動はできないし、もし異動したとしても『そんな目』で見られるから余計に働きづらくなるよ」と、なんだかんだ理由を付けられて異動できなかった。

つまり、休日も「仕事に行きたくない」という思いでネガティブになり休めず、かといって辞めることも異動することもできないし、なにかを新しくする勇気も気力もない状態でした。
だから、立ち止まっても進んでも苦しくて耐えられない。それなら死ぬしかない。
そんな状況でした。

じゃあどうすればいいの?

「死ぬぐらいなら辞めればいい」ができない人の一例を挙げましたが、この状態からどのように立ち直ればいいのでしょうか?

これには本当に人によって千差万別で、残念ながらこれといった正解はありません。
月並みな対処法かつ王道なのが「仕事を休職するか、辞める」ということなのですが、これもかなり疲れます。
だから、実際にできる人は残念ながら多くいません。
嫌々仕事を行っていつの間にか打開できた人もいますし、死ぬ前に転職してみようと思い切って転職して打開した人もいます。また、いったん仕事をやめて休息を図れる人もいます。

しかし、どれもハードルが高く見えますよね?

そこで私からみなさんにお願いしたいのは「誰かに相談してください」ということです。
先ほどの日本財団の調査によりますと
「自殺する人の約74%は誰にも相談しない
ということが分かっています。
本来は誰かに相談することで、一時的にでも冷静さを取り戻し、自殺を思いとどまることが多いのですが、誰にも相談しないことで冷静さを欠いたまま実行に移してしまう人が多いのです。
相談しない主な理由としては「相談しても根本の解決にならない」ということなのですが、この場合の相談することの目的は「ガス抜き」です。「問題解決」ではありません。
問題が解決できれば一番ですが、残念ながらそう簡単ではないのが現実。
しかし、問題が解決できないとしても人は話すことで「ガス抜き」ができることが分かっています。
また、心理的視野狭窄に陥っている場合には第三者の意見が非常に重要になってくる場面もあります

そのため、私からみなさんにお願いしたいのは「誰でもいいから相談してください」ということです。

まとめ

非常に長くなっちゃいましたが、最後に要点だけをまとめると
①死にたくなる思いは「心理的視野狭窄」によって引き起こされる
②誰でもいいから早めに相談して「ガス抜き」をしましょう
ということです。

私への相談も承っていますので、いつでも相談してください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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